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福岡地方裁判所 昭和63年(わ)1077号 判決 1989年2月10日

本店の所在地

福岡県嘉穂郡頴田町大字勢田三九六番地

法人の名称

有限会社 高森組

代表者の住居

福岡県嘉穂郡頴田町大字勢田三九六番地

代表者の氏名

高森福俊

本籍

北九州市八幡西区熊西二丁目五番

住居

福岡県嘉穂郡頴田町大字勢田三九六番地

会社役員

高森福俊

昭和三年一月一六日生

右の者に対する各法人税法違反被告事件について当裁判所は、検察官桒名仁出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社高森組を罰金一、〇〇〇万円に、被告人高森福俊を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人高森福俊に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社高森組は、福岡県嘉穂郡頴田町大字勢田三九六番地に本店を置き、土木建築請負業を営むもの、被告人高森福俊は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人高森は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、賃金を架空計上するなどして簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五九年一月一日から同五九年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得額が二、九六三万八、〇一一円であったにもかかわらず、同六〇年二月二六日、福岡県飯塚市新立岩町一一番四五号所在の所轄飯塚税務署において、同税務署長に対し、その所得額が五七七万五、九三九円でこれに対する法人税額が一七一万九、一〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一、一七六万四、一〇〇円と右申告税額との差額一、〇〇四万五、〇〇〇円を免れ

第二  昭和六〇年一月一日から同六〇年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得額が六、四八九万七、〇二三円であったにもかかわらず、同六一年二月二六日、右飯塚税務署において、同税務署長に対し、その所得額が六八一万二、一四一円でこれに対する法人税額が一九七万一、八〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二、六九五万九、七〇〇円と右申告税額との差額二、四九八万七、九〇〇円を免れ

第三  昭和六一年一月一日から同六一年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得額が二、三六〇万七、〇三四円であったにもかかわらず、同六二年二月二三日、右飯塚税務署において、同税務署長に対し、その所得額が六六〇万七、六四九円でこれに対する法人税額が一九七万二、九〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額九一四万九、九〇〇円と右申告税額との差額七一七万七、〇〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人高森の当公判廷における供述

一  被告人高森の検察官に対する供述調書八通

一  高森美根子(二通)、堀江ヨシ子(二通)、前島有子(二通)、

中野進の検察官に対する各供述調書

一  植木原良一作成の「ほ脱額の算出結果」と題する書面

一  同人作成の「脱税額計算書説明資料」と題する書面

一  登記簿謄本

一  馬渡明ほか一名作成の「領置てん末書」と題する書面

判示第一の事実につき

一  押収してある法人税確定申告書一綴(平成元年押第一八号の3)

判示第二の事実につき

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の2)

判示第三の事実につき

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の1)

(法令の適用)

判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、更に同法一六四条一項)に該当するところ、被告人高森については各所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金一、〇〇〇万円に、被告人高森については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一〇月にそれぞれ処し、被告人高森に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 照屋常信)

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